大人の部活

俺はとにかく、ノートやメモの類が溜まりやすい。

書いたり考えたりするのが性分なものだから、何かにつけて書く。書く。書く。

気づいたこと、考えたこと、頭の整理と、いろんな目的で書いてるうちに、とにかくメモ、資料、ノートが、がっさがっさと家に溜まっていく。

メモだけじゃなく、いろんなところにいったときの研修の資料や、ワークショップのシートなんかもあんまり捨てられない。「自分がやるときになんか役に立つかも」といつも思ってしまう。事業案内とかも、そんなんで手元にあるやつがいくつかある。

そんなこんなを整理していると、「大人の部活」という企画の企画書が出てきた。

これは、2010年くらいに俺がやっていた、教育者の交流会に来てくれていた西川さんという人がある時俺に渡してくれたものだった。

西川さんは人材育成の会社を経営されていて、数社に研修やコンサルティングをされている。元スポーツマンの超あつい親父さんみたいな人で、昔はダイビングでとにかくぶいぶい言わせていたらしい。文字どおり7つの海を渡り歩いたくらい、世界中の海に潜っていたという。そして何よりも、教育が大好きな人だ。

俺のやっていたイベントにも、なんのこり固まったやりとりもなく、すっと来てくれた。(mixiでメッセージをしたんだったと思う。)西川さんはとてもこのイベントを気に入ってくれて、イベントに対して「ワクワクするぜ!」というメモ書きを残してくれたこともあった。

西川さんが、大人の部活の企画書を持ってきた。

そのとき西川さんは、

「これから”大人の部活”っていう新しい企画をやろうと思ってて、直也に率直にアドバイスやフィードバックがほしいんだ」

と言った。渡されたファイルは、カラー刷で綺麗なクリアファイルが前後についていて、左側をホチキス止めをし、上から青いテープで装丁されていた。とても丁寧に用意されている資料だということが見たらわかるものだった。

俺はこれにびっくりした。

二十近くも年の離れた何もしてないただの若造に、企業の経営者さんが、「これからやることにアドバイスをしてほしい」と言ってきたわけだ。今これを打ちながらも鳥肌が立つんだけど、普通、そんなことができるだろうか?企画書の内容よりも、俺はそれをあまりに自然とやってのける西川さんにびっくりした。ああ本当に打ってるだけでその感じを思い出すんだけど、マジですげえなと思った。プライドの高い俺には、到底想像が出来ないことだった。

そして実際そのとき俺がどうしたかというと、「いや、いいと思います!」みたいな差し障りのないような回答をしてしまった。

ぶっちゃけ、細かいことで気になるところがあったり、「もっとかっこよくしたらいいのに」とか、あったんだけど、なんか言えなかった。今から考えるととっても失礼で、何よりもだっせえな〜俺と思う。真摯に相談をしにきてくれた西川さんを俺は静かに小さく裏切ってしまった。

そして、今もうあれから5年くらいが経つんだけど、「大人の部活」は今ではむっちゃ人が集まっていて、とにかく大盛況らしい。西川さんがかつて言っていた「あの学生時代の部活のときの仲間の感じが忘れられなくて、あれをもう一度やりたいんだよね」と話していた言葉を思い出すと、ニマっと笑う西川さんの顔が一緒に出てきて、なんか幸せな気持ちになる。そして、そりゃうまくいくわな、と思う。

そんな人に出会えたことはとてもありがたいことだなと思った。俺に同じことができるかわかんないけど、できるだけ俺もそういう人でありたいなあと思う。

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